日本で一番複雑な下水道【解説】
YouTubeにて公開した動画「日本で一番複雑な下水道」は、途中早送りなどを用いたものの、探検気分を共有したいがために23分という長尺になってしまった。しかもラストシーンはライトアップに力を入れたためテロップでの説明を割愛している。そこで、このエントリーを利用して少し踏み込んだことを解説しようと思う。YouTubeのアドレスは下の通りなので、見てない方は頑張って見てみてほしい。
https://www.youtube.com/watch?v=_mhj_uFNvkg
仙台市にあるこの下水道、何が珍しいかというと一本の内径6.45メートルのシールドトンネルを三分割し、それぞれに違う用途を持たせていることだ。この分割された断面がわかりやすい写真が撮れるところまでには、約400メートルトンネルを歩き、さらに梯子をアップダウンの末ようやくたどり着ける。梅田川第1雨水幹線(略して梅1)と通常呼ばれているが、実際には雨水管と合流管にそれぞれ別の名称がついている。以下、撮影順に捕捉する。
マンホールは市街地にある。歩道上にあるので、道路使用許可が要らない。
立坑の下に敷かれた洗掘防止用の石が雨水に流されて散乱している。「梅1」への連絡管。
「梅1」への接続部。こんなところがいくつかあるので一人で入ると迷子になってしまうに違いない・・。
雨水管の所々にある水栓は、管路に溜まった堆積物を除去するため設置されたが、現在は使われていないとのこと。
雨水管を約380メートル歩くと行き止まりに着く。右の穴は雨水幹線のさらに上流部。向かって右の壁を隔てた反対側に目的地がある。
雨水管から梯子で4段上ったところにあるゲート室。油圧ゲートと電源喪失時にゲートを開閉できる窒素タンクなどが並び、地下要塞のようだ。
動画のラストシーンと同ポジションで撮った静止画。右下(青①)が、380メートル歩いた雨水管。これはいっさい他と混ざらないよう隔壁がある。右上(赤②)は、合流式下水道が大雨時に越流した水を集めて流す管。左半分(緑③)は半円形の管路で、雨が降り始めたとき、屋根や道路の汚れを多く含む初期雨水を一時的に貯水する(滞水池という)。赤②は手前のスペース(撮影カメラ位置)とつながっており、このスペースに越流汚水(通常の汚水の5分の1くらい希釈されている)が溜まっていく。この水より、緑③の初期雨水のほうが汚濁度が高いため、両者が混ざらないように自動でゲート(左下の開口部にある)が閉められる。緑③の水はそのまま処理場まで運ばれ、降雨終了時にはゲートが開いて汚濁度の低い越流水がそこを通って処理場まで行く。この時、緑③の管をフラッシュ洗浄する役割もあるわけだ。
このように、1つのシールド管を3分割しているのは小生の知る限り他に例を見ない(背割り管と言って2つに分けられることはよくある)。また、到達距離が約400メートル+αと長く、酸素欠乏などの危険性が高いこともあり、滅多に立ち入ることはできない大変稀な現場である。
https://www.youtube.com/watch?v=_mhj_uFNvkg
仙台市にあるこの下水道、何が珍しいかというと一本の内径6.45メートルのシールドトンネルを三分割し、それぞれに違う用途を持たせていることだ。この分割された断面がわかりやすい写真が撮れるところまでには、約400メートルトンネルを歩き、さらに梯子をアップダウンの末ようやくたどり着ける。梅田川第1雨水幹線(略して梅1)と通常呼ばれているが、実際には雨水管と合流管にそれぞれ別の名称がついている。以下、撮影順に捕捉する。
マンホールは市街地にある。歩道上にあるので、道路使用許可が要らない。
立坑の下に敷かれた洗掘防止用の石が雨水に流されて散乱している。「梅1」への連絡管。
「梅1」への接続部。こんなところがいくつかあるので一人で入ると迷子になってしまうに違いない・・。
雨水管の所々にある水栓は、管路に溜まった堆積物を除去するため設置されたが、現在は使われていないとのこと。
雨水管を約380メートル歩くと行き止まりに着く。右の穴は雨水幹線のさらに上流部。向かって右の壁を隔てた反対側に目的地がある。
雨水管から梯子で4段上ったところにあるゲート室。油圧ゲートと電源喪失時にゲートを開閉できる窒素タンクなどが並び、地下要塞のようだ。
動画のラストシーンと同ポジションで撮った静止画。右下(青①)が、380メートル歩いた雨水管。これはいっさい他と混ざらないよう隔壁がある。右上(赤②)は、合流式下水道が大雨時に越流した水を集めて流す管。左半分(緑③)は半円形の管路で、雨が降り始めたとき、屋根や道路の汚れを多く含む初期雨水を一時的に貯水する(滞水池という)。赤②は手前のスペース(撮影カメラ位置)とつながっており、このスペースに越流汚水(通常の汚水の5分の1くらい希釈されている)が溜まっていく。この水より、緑③の初期雨水のほうが汚濁度が高いため、両者が混ざらないように自動でゲート(左下の開口部にある)が閉められる。緑③の水はそのまま処理場まで運ばれ、降雨終了時にはゲートが開いて汚濁度の低い越流水がそこを通って処理場まで行く。この時、緑③の管をフラッシュ洗浄する役割もあるわけだ。
このように、1つのシールド管を3分割しているのは小生の知る限り他に例を見ない(背割り管と言って2つに分けられることはよくある)。また、到達距離が約400メートル+αと長く、酸素欠乏などの危険性が高いこともあり、滅多に立ち入ることはできない大変稀な現場である。