ソハの地下水道 [下水道]

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日比谷のTOHOシネマズシャンテで公開中の映画「ソハの地下水道」を観てきた。約半分の時間が下水道の内部のシーンで、下水道マニアは必見の映画だ。舞台は1943年、ポーランドのルブフという町。ナチスドイツに支配されていたこの地にはドイツ人、ポーランド人、ウクライナ人、ユダヤ人などが住んでいて、様々な言語が入り混じっていた。主人公のソハはポーランド人で下水道の修理工。飲み屋にいるときも半長(股下までの防水靴)を履いたままの面白い人。ある日、ナチスから逃れようと家屋の地下に穴を掘り、下水道に逃げ出したユダヤ人の集団と遭遇する。ずるがしこいソハは、彼らのことを匿い、見返りに金銭を要求していた。地下では色々なことが想像もつかないほどのレベルで繰り広げられるのだが、あまりストーリーをここで書いてしまうとこれから見に行く人に悪いのでやめておく。特筆すべきことは、この下水道、スタジオに造り上げたセットであるということ。逆卵形や馬蹄形の煉瓦管は全て石膏で造ったものらしい。下水道が映画の中に登場することは多々あるが、これほど完成度の高いものは初めてだ。(路上のマンホールの管口や雨水吐きなど一部は、おそらく本物だと思う)。監督のアグネシュカ・ホランド氏(女性)は実際の下水道もロケハンしたが、3時間予定していたところ、悪臭に耐えかね、1時間で撤退したという。下水管内が洪水であふれるシーンもあり、その水圧を考えてもよっぽど頑丈な造りでなければならない。専門的に見れば突っ込みどころはなきにしもあらずだが、ハリウッドでの映画制作の経験のあるホランド監督の意気込みが充分感じられる。そんなホランド氏は1957年のポーランド映画「地下水道」の監督、アンジェイ・ワイダの弟子だと言う。この映画の原題は「In Darkness」(暗闇のなかで)だが、日本版タイトルを「ソハの地下水道」にしたのは、ワイダとの師弟関係あってのことかもしれない。因みにワイダの「地下水道」の原題はKanal(水路)。日本人は下水道のことを地下水道と呼ぶのが好きなのか?(小生の写真集のタイトルも然り)。
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